サービスのご案内


フェルデンクライス・ATMクラス:毎週火曜日19:30−20:45
場所:Conte-Sapporo
札幌市西区琴似1条4丁目2−15ニシムラビル4F
(東西線琴似駅すぐ)
http://conte-sapporo.com/evb_feldenkrais.php

フェルデンクライス・FIレッスン:完全予約制
場所:地下鉄円山公園駅徒歩5分
料金:8,000円(ATMクラス受講者、子供は割引あり)


Integrated Healingセッション:完全予約制
対面:15,000円
スカイプ:13,000

ご興味のある方、どうぞお気軽にお問い合わせください。
fk-hakusan[at]hotmail.co.jp
(*[at]を@マークに変えてください)

2019年7月1日月曜日

効果的な練習とは


この投稿にも書いたのですが、練習量を増やすだけでは上達は目指せません。



ひとは同じことを何度も繰り返すことで(習慣にすることで)

神経回路が太くなり、意識せずともそれができるようになる。

つまり、質の高い動きを練習していけば、それが自然にできるようになり

質の高くない動きを練習すれば、質の高くない動きができるようになる、ということですね。





Ted Edの「効果的な練習をするには」

(右下の設定→字幕で日本語字幕をつけられます)











この動画で言っている効果的な練習とは;



・目の前の課題に集中すること

・最初はゆっくりとスローモーションから始める

・休みを頻繁にいれる

・練習の詳細を頭の中で想像する



まさにフェルデンクライスのATMと同じです。



最近になって脳神経学の分野でわかってきたことを

モシェは何十年も前に気づいていて、再現可能な

メソッドとして確立しているのだから

いやはや、すごすぎです。





集中するのもスローモーションで始めるのも

質の高い動きを獲得していくため。

集中、というとちょっと誤解も出てきそうですが

要は静かに自分に注意を向けていくということ。

スローモーションで行うのも、最初は慣れていなくて

雑音の多い動きの中で必要な動きを識別していくためです。



つまり自分が何をしているか、そこに静かに

気づいていくことが必要なのですが

これが実に難しい。





なぜなら、わたしたちはそんな教育を一切受けていないからです。



「先生の言うことを聞きなさい」

「親の言うことを聞きなさい」

「人の気持ちを考えなさい」



とは言われても、



「自分の体のいうことを聞きなさい」

「自分の気持ちを考えなさい」



なんてまず言われないわけですね。



それに運動に限って言えば、筋肉に大きな負荷をかけて

からだが痛いのも我慢して、ひたいに汗して頑張らなければ

上達はしない、という社会的刷り込みもあります。



もちろん、筋肉に適度な負荷をかけたり

汗をかくことも頭と体にいい影響を与えてくれます。

ただこれも、今の自分にとっての適度とはどこなのか、

限界はどこなのかを察知する感受性が必要となってきます。



それが気づく力。





微細な違いにからだで気づき、からだで学ぶ。

それが上達には絶対不可欠。



フェルデンクライスは、その力を養うメソッドです。






この投稿

2019年6月5日水曜日

骨盤時計から2001年宇宙の旅へ




フェルデンクライスの骨盤時計。

これまで何度もやってるけど、今回も新しい感覚がやってきました。

人は常に変わっていくし、状況も変わっていくし、静かに耳を澄ましてみると
なにかしら面白いものに気づくものですね。

それに私は結構トロい人なので、こうやってゆっくり耳を澄ます時間を
与えてくれるフェルデンクライスがとても好き。


さて、この骨盤時計。

クラスの準備のために、細かく細かくやっているうちに
骨盤が大腿骨(太もも)からするりと独立したような感覚が来ました。

まるでよく煮込んだ骨付き肉が骨から
ホロホロと剥がれていったみたいな面白い力の抜け具合。

骨盤の滑らかな重さが心地よく、重力と無重力の間にいるような
なんとも不思議な気持ちよさに包まれました。

おもしろいー。



クラスにいらしてくださった方も
レッスン終了後、一瞬言葉が出てこないようなご様子。

そして

「・・・なんなんだ、この感覚は。また知らないところに連れて行かれてしまった」
と、一言。


私はといえば、完全に2001年にトリップ。
あたまの中では、美しき青きドナウの音色とともに
’宇宙ステーション5’がゆっくりと回っていました

 https://www.youtube.com/watch?v=0ZoSYsNADtY


・・・だからなんなんだ


な、お話です。

でも思ってもいなかったものが自分の中で
繋がったときって実におもしろい。


新たなつながりが生まれるとき
それは人のつながりであろうと、神経回路のつながりであろうと
小さくても面白いことが色々と起こってきます。
発想がひろげられたり、心が豊かになったり、身体能力があがったり。






2019年4月2日火曜日

あるドラム奏者の軌跡


フェルデンクライス・メソッド北米ギルドサイトに
掲載されていたドラマー、武道家、
そしてプラクティショナーのBrianさんのお話。


大学で音楽を学んでいた時、長時間の練習、
常に競争にさらされているストレスから
背中や手をひどく痛めてしまったBrianさん。
ストレッチ、様々な療法、筋トレなど
色々やって、一番ひどい状態は脱したものの
常に痛みと不調をかかえて音楽活動をするのが
当たり前になってしまいました。
そしていつしか演奏に喜びを
感じられなくなり
音楽から離れてしまったそうです。


武術にも真剣に取り組んでいたBrianさん。
そこでも一時は歩けなくなるぐらい
身体を壊してしまい、
必死に解決法を探しているときに
フェルデンクライス・メソッドに出会いました。

レッスンを受けていくことで
背中の痛みはどんどん良くなり、
また武術を始めることに。
でも音楽活動を再開することは考えられなかった。

そして今度は膝の靭帯を切ってしまいます。


手術を受け、フェルデンクライスを続けていくのですが
ある日のレッスンの終わりに立ち上がった時のこと。


あまりにもよく「組織化」できている自分
それまでとはまるで違う感覚だったそうです。


そしてなぜか、大学時代に西アフリカで
習ったダンスを思い出したといいます。


当時は全くできなかったそのダンスが
その時体で理解できた。


頭のてっぺんからつま先まで
全身を動きが通り、正確なコントロールが
できるという感覚があった。




そして、「またドラムの演奏をする」という啓示がやってきた。


昔のような演奏するなんて想像できなかったのに、
自分にそんな可能性はないと思っていたのに、
頭の中には沢山のリズムが聞こえてきて、
これからずっと演奏していくという考えがやってきた。




からだが本来行きたい方向に戻ってくると
インスピレーションは自然に
からだの内から立ちのぼってくるのですよね。



ドラムを再開し、プロとして音楽活動をしているBrianさん。
演奏は、昔のように痛みや不調に耐えながら、ではなく
満たされている経験だと言っています。

そして過去の自分は、うまくなるために
自分の学びのペースを無視して無理やりなことをして
いたと気づいたそうです。



からだの深い知性とつながると
思ってもいなかった景色が見えたりする。


新しい出会いは自分の中にあります。


This Drummer's Transformation by Brian Baraszu
フェルデンクライス・メソッド 北米ギルド
https://www.feldenkraisguild.com/article_content.asp?edition=1&section=14&article=351

2019年3月23日土曜日

上達に必要なもの





















なにかを習得しようとするとき
私達は練習をします。
何度も何度も練習することによって
からだに染み込ませようとします。
考えずとも自然にからだが動けるように。


でも上達が早い人もいれば遅い人もいる。

その差はどこにあるのでしょう?

練習量の差?
熱意の差?

もちろんそれもありますよね。

でも一生懸命練習しているのに、なかなか上達できないって人もいる。
それどころか練習しすぎて怪我してしまう、なんてことも。


量だけでは埋められないものがある。
ひとはそれを「才能の違い」と言ったりもします。

でもそれって具体的に何なんでしょう。



頭が目指す方向

体が向いている方向



このふたつがどれだけ一致しているか。


これはすごく大きいのです。


向いている方向と全然違うところに
からだを無理やり頭でひっぱろうとしても
からだは嫌がります。



ではどうすれば良いのか

どうすればあたまとからだの
整合性がとれていくのか


観察していくこと。

自分がなにをしているのか、
からだがなにをしているのか

思考を押し付けずに静かに観察していく。
(押し付けようとしている自分がいたら
それも静かに観察していく)

細かく細かく丁寧に



頭が思い込みを手放すと
体も不要なパターンに気づいてくれる。

カメラのピントが合っていくように
あたまとからだの方位性が合っていく。

今までなかなかできなかったものが
楽にできるようになったりもする。


気づきとは
思考による分析ではなく
体感をともなった主体的な経験なのです。


そんな、気づきが起こる場を持つことが
すごく大事だと思ってます。



小さな気づきの大きなちから





2019年1月21日月曜日

意識の方向



















フェルデンクライスには、目の動きのレッスンが多くあります。

指示に従って目を動かしていき、動いていく中で
呼吸やからだの他の部分に何が起こるかに
注意を向けていきます。

そして、片目だけにひたすら注意を
向けてやることが多々あります。
でも片目を動かせば、当然もう片方も
同様に動きますよね(歌舞伎役者のように
片目だけを動せる人は別ですけど)。

それなのに
レッスン途中で体の感覚を確かめると、
意識を向けた側だけが楽になっていたりします。

しかも目だけでなく、半身全部が。


大事なのは動きそのものではなく、どこに注意を向けるか、なのです。


しかし、フェルデンクライス博士は
こんなレッスンをよく思いついたよなあ、と
毎回レッスンをする度に感動しちゃいます。


どこに注意を向けるか。
これは体だけでなく、心、思考に対しても同じことが言えます。

日常での様々な出来事に対し、
私たちは、過去の自分の経験や学習に基づき
脳で意味づけを行い、良い悪いといった
価値判断をしたり、好き嫌いの感情を持ったりしています。


日本でも、数年前にマインドフルネスという
言葉が流行ったそうですが、
ここ最近、マインドフルネスベースの瞑想が
身体にも精神にも良い影響を与えるという
科学的な研究結果が色々と出てきているようです。


で、マインドフルネスとは?

この動画では、こう定義していました。
「今この瞬間に、ある特定の方法で
意図的に価値判断なしに注意を向けること」


では、なぜこれが身体やメンタルに良い影響を与えるのでしょう?


マインドフルとは、行なっていることと
頭の中が一致していること。
つまり、何かをしながら別のことを考えていたら、
それはマインドフルな状態とはいえません。

歯を磨いている時、100%歯磨きに集中しているでしょうか?
料理をしている時、100%料理に集中しているでしょうか?

、、、と考えてみると、一日の中でマインドフルな状態で
いるのって、一体何パーセントぐらいなんでしょう?


私たちの心は彷徨いやすく、
しかも面白いことにネガティブなものに
目がいきやすいようになっています。
脳とはそういうものなのです。
なぜなら脳にとって一番大事なことは生命を守ること。
そのためには常に、あらゆる危険を想定し、
察知し、それを避けなければならない。

楽しかったことより、嫌なことの方が
いつまでも頭の中に残り、そのことに
ついてウジウジ考え続けてしまうのも
脳の機能を考えると当然、
なわけですね。


脳の役目は私たちを生き延びさせること。
幸せにすることではないのです。
だから未知なるものへのチャレンジも好みません。
未知なものには、どんな危険があるかわからない。
今の状態がつまらなくても、
それで命が脅かされる危険がない、とわかっていれば
脳はそちらを選びます。
だから、何か新しいことをやろうとする時、
例えば「めんどくさい」という
感情を起こして、私たちを止めようとします。



「幸せとはスキルだ」

同じ動画の中で、ウィスコンシン大学の
ディヴィッドソン教授は言っています。

より良く生きたいと望むのであれば
彷徨いやすく、ネガティブな方向に
いきがちな心に気づき(=メタ認知力を高める)
自分がフォーカスしたいものに
心を向けるための訓練が必要なわけですね。
それが、マインドフルネス、なのです。


そして、このマインドフルネスの概念を
運動系に特化させたものが
フェルデンクライスのATMレッスンと言えるでしょう。
あ、ちなみにマインドフルネスという名前が一般に
浸透したのは、かなり最近のことで、
フェルデンクライス博士が
生きていた時代よりずっと後のことです。
ただ、もともと仏教の哲学からきているし、
例えばヴィッパサナー瞑想なんかは、
マインドフルネスとすごく似ている(というか
ほとんど一緒のように見える)し、
多岐にわたって貪欲に
学んでいたであろう博士であれば
それらの瞑想法も知っていたかもしれません。


感情や思考に飲み込まれず、静かに気づいていく。
からだに対しても、心に対してもメタ認知力を
上げていくことは、これほどの量の情報が飛び交い
すごいスピードで移り変わっていく世の中では
必須の’健康法’と言えるかもしれません。