脳は今までの習慣をやめて新しいことに挑戦することを好まない。なぜなら、脳の使命は私たちを生存を守ること。未知のもの、新しいものにはどんな危険が潜んでいるかわからないので、脳はそこには向かいたがらない。だから変わりたい、挑戦したい、あるいは習慣を変えたいと私たちが思った時に、脳はなんとか阻止しようと急ブレーキをかけて、これまでの安全な(でも満たされない)習慣へと逆戻りさせようとする、というわけです。
しかも習慣の多くは自動操縦化されていて、その8割を私たちは無意識で行っているとも言われています。5秒ルールは、その無意識の習慣のスィッチが大脳基底核で入るのを邪魔して、意思決定、計画、前に向かって進むことに大きく関わっている前頭前皮質を目覚めさせるのだそうです。
旦那さんがビジネスで失敗し、自分も失業してどん底状態だったロビンス氏は、このままじゃいけない、変わりたい、と思っても変われなくて苦しんでいた。そんなある時、ロケット打ち上げの5、4、3、2、1、というカウントダウンをテレビで見た時に「これだ!」と思ったのだそうです。そして次の朝、目覚ましが鳴った時に「5、4、3、2、1」と数えてガバッと起き上がることができた。それまでずっと決めた時間に起きることもできなかったのに。。。この経験が5秒ルールの原型だそうです。
何かやりたいと思ったら、脳がブレーキをかける前に、5秒以内に、実際に物理的になんらかの行動をとる。それは何もいきなり大きな行動でなくてもいいわけですね。ロビンス氏は、私たちの日常は無意識の小さな決断の連続だと言っています。朝、目覚ましが鳴ってももう少しだけ寝ていよう、という決断、遅れそうになる子供に早くしなさい!とどなる決断、配偶者に対して不機嫌な態度をとるという決断、、、etc、etc、という具合に。そういった、ほとんど無意識に行なっている小さな決断に気づく。そして5、4、3、2、1のカウントダウンで、意識の層まで引き上げてきてくることで習慣のループから抜け出す。そこで快楽を感じればしめたものです。
やる気は必要な時にやって来てなんかくれない。だって脳はそんな風に作られていないから。だから自分は意志が弱い、やる気がないんだ、と落ち込む必要は全くないわけですね。やる気を起こさせるためにちょっとしたトリックを使うのが必要なんだと。
そして私たちが前に進むには、快楽が必要なのです。しかし嫌なことでも我慢してかんばった、人のために自分を犠牲にした、なんていう歪んだ快楽を動力源にする時代は、もう終わりです。そんなものは自分を痛めるだけでなく、周りをも傷つけます。
その辺りは、代々受け継がれている社会的な信念体系が私たちの中に根深くあるので、なかなか手強いのですけどね〜。まあ、その話はまた今度。
というわけで、5秒ルールとそれにまつわる脳のお話、なかなかおもしろかったです。
上の動画ではないのですが、ロビンス氏のTEDトーク、書き起こし(日本語)はこちら。
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